2022/04/11

天国は天国だったか?

 母親の特別養護老人ホームへの入居が決まった。月々12万円と高額だが、母親の年金6万円と母親の口座残高(なんと900万円もあった!)からの入金と、弟が足りない分を補填してくれるということでお金の面はなんとかなりそうだ。
それよりも完全に介護から開放された!父親の方の様態が悪くなってきたので、100%完全とはいかないが、母親の介護からは100%開放された。

長かった。過去の写真や日記などを調べてみると、母親の認知症っぽい症状に悩まされはじめたのが2016年ぐらい。
そこから家事は私が担当したが、徐々に母親の認知症も悪化していき、なにかを隠されたり(本人は隠しているつもりはないのだろうが)、言動もおかしくなり、ずいぶん母親には悩まされてきた。

2019年からは、認知症の症状があからさまにひどくなったこともあり認知症専門医に通院し始めた。が、認知症は一向に治らず、徐々に母の脳をむしばんでいった。

そして2022年1月、ついに来るべきとこまで来たか、と思えるほど悪化。もう食事もトイレも、全て出来なくなってしまった。このあと3ヶ月、母親の介護に悩まされることになる。

ここは地獄か

今振り返ると、よくこの3ヶ月(実際には4ヶ月弱)耐えてきたなぁ、俺。と思う。いろいろな人に母親の入居のことを伝えたが、みんな「よく耐えたねぇ」と言ってくれた。
私としてはよくわからずがむしゃらにやってきたので、頑張ったのか褒められることなのかよくわからない。でも、毎日毎日大変だった。まさに地獄の日々という感じだった。

母親の認知症が悪化が進行した2020年ぐらいから、いつも「あぁ、ふたり(両親のこと)がいなくなったら、天国のような日々を送れるのになぁ」と思っていた。
2022年に入ってからは、「はやくここから抜け出したい!」と思うようにまでになった。

そして母親が入居し、ある意味当時願っていた状況になった。が・・・

なんだろう。母親がいなくなれば天国のような生活と思っていたが、実際はそれまでの生活となんら変わりない感じがする。
それどころかもっとだらけた生活を送るようになった。

介護に勤しんでいた頃は、母親の介護から開放されたら・・・

「週に1回、YouTubeに動画をアップするぞ」
「(自営で引き受けている)運送の仕事の帰り、おしゃれな海の見える食堂でランチでもしよう」
「毎日散歩をして外の空気を吸うぞ」
「ジムに通って汗を流すぞ」
「短時間で楽なバイトを探して充実した日々を過ごすぞ」
「休みの日には図書館に行って、のんびり本でも読もう」
「今までめんどくさくて手を付けなかったが、もっと凝った料理をつくろう」

なんて生活を思い描いていた。が・・・

全然実現していない・・・。それどころか、毎日ダラダラ過ごしている。
YouTubeを見たり、つまらない検索をして時間を無駄にしたり・・・
上記に挙げた生活をしたい気が起こらない。。。

多分、今、これを読んでいるひとも心のどこかに、

「宝くじにあたったら、タワマンに住んで、毎日夜景を見ながらお酒を飲みたい」
「お金があったら、今のこのブラックな会社を辞めて、本当に働きたい会社に転職してやる!」
「YouTubeでひとりキャンプ、車中泊の動画をアップして、広告収入だけで暮らしていけないかなぁ。」
「居るだけでお金が貰える仕事って無いかな」

なんて現在の暮らしに不平不満を持ちながら過ごしていないだろうか。

が、断言できる。天国かと思っていた場所にたどり着いても、待っているのは今までの暮らし、だ。
私が子供の頃は、インターネットはおろか、コンビニもなかった。テレビも家族で見る時代だったし、録画という概念すらない時代だった。
当時からすると、今はまさに「みらい」だ。子供の頃描いていた理想的な未来、だ。
だが、まわりを見渡してみると、私を含め、あまり幸せそうに見えない。いまだにみんな歯を食いしばって働く必要があるし、病気を恐れて暮らさなくてはならない。
スマホで家にいながらいろいろなものが手に入る時代になったし、テレビは手のひらサイズになった。だが、だからといって昔に比べて今は天国だろうか?

「老後はどこか田舎で農業でもやって、自給自足の暮らしをしたい」
「隠居したら、世界を旅したい」
「いつか会社を起こしたい」
「独立して好きなことを仕事にしたい」

「いつか」なんて言っているうちは、永遠にたどり着けないし、はじめてみると思っていたのと違うなんてことはよくあること。

結局のところ、今思い描いている天国は、本当に私達が目指している天国ではなく、単なる今を抜け出したがゆえの幻のようなものなんだと思う。

私たちは天国にいる

神との対話で神は、こう言っている。

あなたがたははじめから天国にいるし、神のもとを離れたことはない。単にその事を忘れているだけだ。あなた方がすべきことは、自分が天国にいることを思い出すことだ。

そう、そうなのだ。結局のところ、何かにたどり着いてもすぐにその状態に慣れてしまい、次の天国を求めるようになる。次の天国が見つかると、今の状態が地獄に感じてしまう。

そして、今が昔描いていた理想の世界に、つまり天国にいることを認識することだ。

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